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なぜ計測機器の校正を管理できないのか?

  • 2022年10月31日
  • 読了時間: 5分

更新日:2023年10月6日


小さな会社の工場長が、なぜ小さな会社では計測機器の校正管理ができないのかを書いていきたいと思います。

この記事を読むことによって測定機器のの管理ができるようになれば幸せです。


もくじ




1.

「何をしたらいいのか、何から始めたらいいのかわからない。」


こういった従業員が殆ど。


私はまず、ノギスやマイクロメータの基本的な使い方を勉強会という時間を作って教育していくことから始めました。それと同時に校正と点検の違いを教えていきました。


水曜日の夜間や、土曜日の午前中などわざわざ時間を作る必要がありました。工業系の学校に通っていた人であっても全員がしっかり身に着けてから就職しているわけではないのです。


むしろ全く畑違いの職種から転職してきた人の方が自ら本や動画で学んでいてしっかりとした知識を持っている人もいたくらいです。

 

最低限の知識がないと何も進みません。

「買ってから一度もぶつけたことも落としたこともないから、このノギスで検査すれば問題ないはず。」とベテラン従業員は新しいことを始めることに抵抗する姿勢を見せたこともありました。


しかし丁寧に説明をし、5分以内に終わる手順書を作成することを約束し、まずは日常点検(使用前点検)から始めていこうと説得していきました。


なのでまずは、測定機器の校正や点検、管理方法などについて正しい知識を従業員に教えてあげて下さい。


2.

面倒なことは誰もしません。


どこの会社も暇な人などいません。誰しもがこれ以上仕事を増やさないでほしいと思っています。ですから測定機器の管理が本当に大切なことであると認識させる必要があります。


それでも簡単な手順や、簡単な作業にしないかぎり徐々にやらなくなり、継続することの難しさを痛感することとなります。毎日行う点検はPCに保存するところまで5分以内に終わることを目指しました。



しかし当然ながら最初から5分で終わるはずもなく、だいたい8~10分程度かかっていました。時間のかかる原因は点検そのものではなくPCの入力作業でした。

当時は人数に対してPCが不足していたり、エクセルで同時入力に対応できていなかったからです。


一人が入力作業を終えるまで入力することができませんでした。また現場からPCのある事務所まで行かなければならず、大変不評でした。


予想されたことでしたが、徐々に誰も打ち込まなくなり見事に失敗しました。


その後、iPadを現場に導入し、FileMakerというデータベースソフトで測定機器管理台帳を作りました。日々の点検作業は手元のiPadにすぐに打ち込むことができ、ほとんどの人が点検から入力まで3分かからずに終わりにすることが出来るようになりました。


3.

習慣化するまでが大変


習慣化するまでには時間がかかります。人によって違いはありますが、およそ1か月から半年くらいの期間が必要になります。特に始めにくる最初のハードルは低くしないと、ほとんどの人が「やっぱり明日からやろう」と思ってしまいます。


ノギスやマイクロメータの管理であれば、使用前点検(日常点検)を行い記録の保存まで3分以内にできることが従業員に継続させるためのカギとなります。


繁忙期などが重なると徐々に後回しになり、ついには忘れてしまいます。しかし手元にiPadがあり、3分以内の労力であれば全ての人が継続してくれるようになりました。確かに何度か忘れることはありましたが、断続的にでも続けてくれています。


また、毎朝決まった時間に自分の管理している測定器を点検させることで習慣化させることに成功しました。


ノギスなどの比較的安価なものに関しては予備を用意しておき、点検で異常があった場合には対応できるようにしておきましょう。小さい会社ですが何年も続けていると、たまに異常が発見されます。ここで怒ったりせずに淡々と、事務的に代替品と交換することが大事です。怒られると、今度は報告しなくなります。


4.

やっぱり管理者側がいちばん大変かもしれません。


測定機器の点検のポイントや手順書を用意し、教育しなければなりません。

各測定機器に管理番号を付与し、管理台帳を作成しなければなりません。


スマホやiPad、そして管理台帳アプリを用意して管理、運用していかなければなりません。特にFilemakerでのアプリ開発に苦労しました。じつは、この作業だけで半年近くかかってしまいました。


→誰でも利用できるように、iPhone,iPad用の測定機器管理台帳アプリ「SOKADA」を開発いたしました。

2023年4月ついにリリースいたしました。

アプリの詳細はこちら



また管理者は品質管理規程や測定機器管理手順書などの文書類を作成し、校正周期や校正結果の合否判定の基準を明記しておく必要があります。

小規模事業者にとってはこの辺りの文書の作成も越えなければならないハードルひとつですね。


実際の校正作業は外注していますので、予備の測定器の購入と校正期限の管理だけになります。外注先によっては代替品をレンタルしてくれるところもあります。また3次元測定機は、メーカーに出張校正で対応してもらっています。


工程内検査に使用するノギスに限り、徐々に社内校正に移行していきました。キャリパチェッカーなどの基準器を社内に用意し、定期的に校正します。基準器は外部の校正会社に外注します。こうすることで外注費用を低く抑えることも出来ます。


まとめ


いかがでしたか?

こうしてみると乗り越えなければならないハードルがいくつもあります。特に管理者は高いハードルがたくさんあり、とても大変です。しかし一つずつ乗り越えて行けば必ず会社の品質管理の意識が高まり、不良品の削減や、新規受注につながると思います。


管理者

  • 従業員教育

  • 品質管理規程や計測機器管理手順書などの文書類の作成

  • 点検のポイントや点検ハンドブックなどの作成

  • 計測機器管理台帳の作成

  • 管理台帳の管理、運用

  • 校正の実施、合否判定

従業員

  • 校正、点検などの知識と理解

  • 点検、記録の習慣化

このブログを通じて少しずつ上記のことを書いていきますので、

よろしくお願いいたします。


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