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デジタルノギスの校正手順(社内校正手順)

  • 執筆者の写真: SOKADA
    SOKADA
  • 2023年10月5日
  • 読了時間: 5分

更新日:1月30日

デジタルノギス(600㎜以下の標準ノギス)の社内校正手順書の一例です。


過去記事ノギスの校正(社内校正の方法)ノギスの校正(社内校正の方法)②(補足記事)を踏まえて具体的に数値等を決めて手順書のテンプレを作成してみました。参考にしていただければ幸いです。


注記:外部の校正機関にノギスの校正を依頼した場合、外側測定と内側測定の項目のみ試験されることが多いようです。段差測定や深さ測定などの校正を依頼したい場合は必ず試験項目を確認してから発注をかけた方がいいと思います。



1.準備

基準器の準備

・キャリパチェッカ:600㎜

・ブロックゲージ:10㎜(JIS規格 50㎜未満)

・リングゲージ:Φ5㎜ (JIS規格 Φ5㎜、300㎜以下のノギスに適用)

・定盤

・ピンゲージ:Φ10㎜(JIS規格 小さな円筒測定標準)


※外側測定と内側測定だけを校正する場合(深さ測定誤差、段差測定誤差、小内径測定誤差に関する計測特性の試験は不要と見なした場合)は、使用しない。


チェックポイント

□ 「一般校正証明書」「検査成績書」「トレーサビリティ体系図」の3点、または「JCSS  校正証明書」「検査成績書」があること。

□ 校正期限が切れていないこと。

□ 合格品であること。


2.環境

適切な測定室(20℃±1℃、湿度50~60%±5% )で行うこと。但し、用意できない場合は下記の環境下で行ってもよい。

  • 温度の適合範囲 10℃~30℃

  • 湿度の適合範囲 35%〜75%

※基準器や測定機器が20℃になっていることが望ましい。


外部から測定室に持ってきた場合は、温度慣らしのため少なくとも2時間以上置いてから校正作業をすること。


チェックポイント

□ 測定室内の温度を記録。

□ 測定室内の湿度の記録。

□ 温度ならしは2時間以上行ったか。


3.清掃

ノギスの清掃


チェックポイント

□ ノギスを清掃し、汚れやチリなどが付着していないかよく確認する。


4.基点合わせ

ノギスの基点合わせ


チェックポイント

□ ノギスの外側測定用ジョウを閉じて基点(0.00)を合わせます。

□ ジョウの隙間から光が漏れていないか、目視で確認。


注意:

外側測定用ジョウにキズや曲がりなどがあり光が漏れている状態であったとしても、この時点で、砥石を使用して測定面を研ぐなどの修正を加えてはいけません。現状のまま校正作業をしてください。


5.指示誤差の確認①

キャリパチェッカを使用し、外側ジョウの先端付近、中心付近、根元付近の3ヶ所、内側ジョウは先端付近と根本付近の2か所で測り、その内の最大の誤差をそれぞれ記録します。


この手順書では、試験点は下記の表の通りとする。もし下記の試験点以外を測定したい場合には追加試験をしても良い。但し、下記の試験点は必ず測定し記録をしなければならない。


下記に示してある全ての試験点を測定し、その誤差を記録する。最大及び最小の測定標準に対しては、各試験点の最大誤差を記録します。


ノギス校正手順
試験点数と測定箇所

チェックポイント

□ 各測定標準の最大誤差を記録


例:200㎜ノギスの場合


 ・外側測定

   ①と②の大きい方の誤差を記録

   ③の誤差を記録

④の誤差を記録

   ⑤と⑥の大きい方の誤差を記録


 ・内側測定

   ①と②の大きい方の誤差を記録


6.指示誤差の確認②

深さ用又は、段差測定面については、10㎜のブロックゲージと定盤を用意し測定を行います。試験点数は各1点です。


小さな内径測定でのナイフエッジの内側用測定面の交差によるシフト誤差は、呼び径5㎜のリングゲージを測定します。(300㎜以下のノギスに適用)


チェックポイント

□ 深さ測定誤差を記録 

□ 段差測定誤差を記録

□ 小内径誤差を記録


※外側測定と内側測定だけに使用する場合は、これらの項目(深さ測定誤差・段差測定誤差・小内径測定誤差)に関する計測特性の試験は不要と見なしても良い。


7. 指示誤差の確認③

前述「4.基点合わせ」で外側測定用ジョウの隙間から光が漏れていた場合は、線接触誤差の確認をします。

  • 外側用測定面に沿った様々な位置でΦ10のピンゲージを測定

  • EMPE=±aの場合、線接触誤差=2a


デジタルノギスの校正手順

チェックポイント

□ 測定面の様々な位置で測定し、最大誤差を1つ記録します。


8.目視点検

目視で外観を検査し、打痕や変形、錆などをチェックします。また目盛り線や数字などが消えていないかを確認します。


チェックポイント

□ 打痕、変形、錆などが無いことを確認

□ 目盛り線、数字がはっきり読めることを確認


9.合否判定

メーカー規格品においては、メーカー規格(各シリーズ毎)に従い合否判定を行う。それ以外はJIS B 7507:2022に準拠し合否判定を行う。(下記の表を参照)


Mitutoyo規格
Mitutoyo規格
JIS B 7507:2022
JIS規格

・内径測定誤差(Φ5㎜リングゲージ):+0.01/-0.03(㎜)

・線接触誤差(Φ10㎜ピンゲージ):±0.04(㎜)


注意:Mitutoyo規格に従い合否判定を行う場合は、外側測定と内側測定はEMPEを参照すること。その他のシフト誤差はSMPEを参照のこと。


チェックポイント

□ 合格・不合格

□ 合否判定者(承認者)の記録


10.記録の確認

測定機器管理台帳内の検査成績表に記録漏れがないか確認すること。


チェックポイント

  □ 校正日

  □ 校正者

  □ ノギスの管理No.

  □ 使用した標準器の管理No.

  □ 温度、湿度

  □ 検査成績

  □ 合否判定

  □ 合否判定者(承認者)

  □ 次回校正期限シールをノギスに貼付する



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